回復期というステージのなかで
救急車で運びこまれた当初は、呼吸が停止して危険な状態であったあなたも、やっと症状が安定し、回復期を迎えることができました。
もうベッドから起きあがることも、ひとりで食事や排泄をすることもできます。
しかし、足を複雑骨折したために、まだ、うまく歩くことができません。
そこでさっそく医師の指示により、リハビリテーションが始まりました。
訓練室に移動して、毎日午後3時間ほど、歩行訓練を行います。
あなたの歩行訓練を励まし援助してくれるのは、理学療法士のスタッフです。
ここでは歩く練習のほか、長い間ギプスをはめていた足の筋肉をほぐすために、温水のなかに足を浸す物理療法やマッサージなども行います。
これらを指導してくれるのもまた、理学療法士たちです。
行われたリハビリの結果は、やはりカルテに記載され、ほかの医療従事者たちと共有される情幸酎こなります。
もしあなたが手足を切断して義手や義足の装着の必要があれば、この時期に義肢装具士があなたに合ったサイズの義肢を製作します。
義肢の操作を指導し、あなたとともに練習に励むのは理学療法士の役目です。
また、もしも視覚障害がある場合には視能訓練士が、言語障害がある場合には言語療法士があなたの能力の回復を支援します。
入院によってお年寄りに痴呆症状が出てしまうなど、社会的不適応がある場合には、工芸や絵画の創作活動などを通じて作業療法士があなたの精神状態の向上に努める場合もあります。
これらはいずれも医師の判断と指示によって開始されることになります。
さてリハビリも順調に進み、いよいよ退院の時期が近づきました。
そこで登場するのが医療ソーシャルワーカーです。
入院中にかかった医療費を自身や家族が支払えない場合や、
退院後にも自宅の近くの訓練施設などで訓練を続けなければならない場合、
退院後の生活に患者や家族が不安を抱いている場合など、医療ソーシャルワーカーはこれらの相談を引き受けます。
医療ソーシャルワーカーは、あなたの住む地域の開業医や保健所・福祉施設などと常に連携をとりあっており、それぞれのケースに一番マッチした自宅療養の方法や福祉・行政サービスの内容や利用方法を紹介してくれます。
退院の日が決まると、あなたのカルテは医事課に送られ医療事務職員によって医療費の算定がなされます。
入院中に行われるさまざまな治療や処置・訓練に対しては、法律によってそれぞれ決まった点数がつけられており、医療事務職員はこれらの点数を加算して診療費を割り出します。
あなたが健康保険を使って治療を受けているならば、診療費のなかで国や市町村・各種健康保険組合に請求できる費用と個人負担の額に分けられて請求がなされます。
この治療・療養費を会計の窓口で支払えば、あなたの入院生活は終わりとなるのです。
いかがでしたか? 3回にわたって「ケガをしてから病院に運ばれ、検査・入院・治療やリハビリ・退院までの流れ」を見てきました。
あなたが取得をめざしている医療関連資格をもつスタッフは、登場しましたか?
誌上入院体験を通して、たくさんの医療従事者が、あなたというひとりの患者を中心にチームワークを組んで働いていることがわかったでしょう。
この連携の輪が少しでも乱れると治療が滞り、患者の入院生活にも支障が生じるのです。
それだけに医療従事者には、患者の生命を預かるにふさわしい責任感と協調性が要求されているのです。
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