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在宅ケアサービスの内容
デイケア以外の在宅ケアサービスの内容について簡単に説明をしておきましょう。
まず、家庭に派遣される老人ホームヘルパーの仕事ですが、おおまかにふたつに分けられます。
ひとつは身体介護を中心とするヘルパー、そしてもうひとつは家事援助を中心とするヘルパーです。
身体介護とは、具体的には、おむつの交換や入浴・洗髪・清拭(体を拭くこと)・トイレ誘導・疾吸引など、主にひとり暮らしのお年寄りの身のまわりを清潔に整える仕事です。
家事援助とは、食事のしたくや洗濯・掃除・買い物など、主にお年寄りの生活に必要な援助を行う仕事を指します。
派遣される老人ホームヘルパーは、週に決められた目に登録先の家庭を訪問し、およそ3〜4時間滞在して援助を行います。
ひとりのヘルパーが1日に訪問する家庭の件数は平均2〜3件です。
次に、保健婦の仕事ですが、保健婦は市区町村ごとに設置されている保健所や病院・診療所に所属しています。
91年度より全国の保健所において、国や都道府県・近隣の医療施設・市町村などのもつ医療情報を集めて分析・提供を行う「地域保険医療計画作成支援システム」が行われるようになりました。
このシステムには、老人や高血圧・心臓病などで在宅療養中の患者を有線テレビやモニターでつないで観察・援助を行う「在宅医療支援システム」も含まれています。
もっとも、実際に訪問保健婦の家庭への派遣などを通して在宅ケアを実施しているところは、全国すべてというわけではありません。
訪問保健婦の派遣を行っている保健所に所属する保健婦は、一般的な老人ホームヘルパーやボランティアが行えない看護行為を行います。
具体的には、お年寄りの体温・血圧・脈拍・体重の測定、慢性疾患をもつ場合には症状の観察、薬の服用が正しく行われているかどうか、あるいは健康相談・健康指導などです。
多くは地域の開業医や保健所に登録されている医師とともに家庭を訪問し、簡単な診察も行います。
単独で訪問している場合には、お年寄りがふだんかかりつけている病院の医師と連絡をとりあうシステムをつくっており、必要があれば医師に往診を依頼します。
訪問保健婦が1件の家庭を訪問するサイクルは、およそ1〜2週間に1回程度です。
ひとりの保健婦が家庭を訪問する日数は、施設により異なりますが、平均して週に2〜3日のようです。
訪問日以外は、所属する施設で地域住民の保健指導や健康管理・乳児検診などの業務を行います。
今回の例では紹介しませんでしたが、このほかにも地域ごとにさまざまな在宅ケア・福祉関連サービスが行われています。
ここで、それぞれのサービスにかかわるスタッフと仕事の内容を簡単に説明しておきましょう。
訪問看護サービス
地域の病院や民間企業が主体となり実施しています。
病院の場合は、訪問看護チームというセクションを備える病院が、所属する医師と看護婦(士)、准看護婦(士)にチームを組ませて家庭を訪問させています。
訪問先は、以前にその病院に入院したことがある患者をもつ家庭が中心です。
仕事の内容は、患者の診察・治療・薬の投与・健康管理と指導などです。
給食サービス
市区町村の福祉課や福祉事務所・社会福祉協議会・民間企業などが主体となり実施しています。
ひとり暮らしのお年寄りや体が不自由で日常生活が正常に営めない障害者のために、給食を届けるサービスです。
週に数回の割合で各家庭を車で巡回し、温かい食事を提供します。
このサービスにかかわるスタッフは、管理栄養士・栄養士とボランティアや施設に所属する一般職員などです。
リハビリテーションサービス
地域のリハビリテーションセンターや老人福祉施設・病院などで行われています。
多くは各家庭への送迎サービスとともに実施され、お年寄りが家庭から施設に出向いて機能回復訓練を行います。
訓練の内容によって携わるスタッフも変わります。
歩行訓練や日常生活動作訓練の場合は理学療法士が、
言語機能回復訓練の場合には言語療法士が、
痴呆症や精神障害がある場合には作業療法士が訓練に携わっているところもあります。
以上、病院と老人福祉を中心に、健康・福祉にかかわるスタッフと仕事の内容を簡単に紹介してきました。
福祉関連の資格のなかには、もちろん過去3回に渡って中で紹介できなかった職種もたくさんあります。
また、一般の人々の健康増進を助けるために設けられた資格や、妊産婦・心身障害者のケアをして働く人々のために定められた資格もあります。
しかし、それぞれの資格・職種の仕事内容や就業の場など細かい説明については、ほかのところに譲るとしましょう。
カテゴリー:医療・福祉の仕事を知る
デイ・サービスセンターでの1日
さて、今日は月曜日、お母さんのデイケアが行われる日です。
午前中の早い時間に福祉施設から送迎バスがやってきました。
バスを降りたお母さんを出迎えてくれたのは、デイサービスセンターの職員たちです。
職員には、社会福祉主事(または社会福祉士)、介護福祉士、老人ホームヘルパー、管理栄養士、栄養士、作業療法士、ボランティアなどがいます。
これはショートステイを行う老人福祉施設や有料老人ホーム・特別養護老人ホーム・老人保健施設などでもほぼ同じです。
ただし後者の場合は、各施設によって看護婦(士)、准看護婦(士)、医師、言語療法士、理学療法士などが追加されます。
とくに看護行為を行うため、医療と福祉の中間的施設とも呼ばれる老人保健施設では、これら有資格者の配置が法的に義務づけられています。
車椅子に乗ってロビーに連れていかれたお母さんは、ほかのお年寄りたちと一緒に、まずはお茶を飲んで一服です。
麻痔のあるお母さんのために、ボランティアの人がお茶を飲む手伝いをしてくれます。
うまくは話せないお母さんですが、たくさんの友達に囲まれて楽しそうに見えます。
一服したら、お風呂の時間です。
介護福祉士やホームヘルパーたちがお年寄りを一人ひとりお風呂に誘導し、入浴を介助します。
お母さんは麻痔があるので、ベッドバスという寝たまま入浴できるお風呂を利用します。
お風呂から上がり、サッパリしたところで昼食の時間です。
食事は、お年寄りが食べやすいよう栄養士によって工夫された柔らかいものや細かく刻まれたものを中心に栄養価の高いメニューです。
体の不自由なお年寄りには、ボランティアやヘルパー・介護福祉士が付き添って介助します。
自宅でひとりっきりの食事よりも、大勢で食べる食事のほうがお母さんにとってもおいしいのではないでしょうか。
昼食後には、いろいろなレクリエーションが待っています。
映画を観たり、ゲームをしたり、カラオケ大会をするなど、お年寄りに楽しみながらよい刺激を受けてもらえるように、職員は行事の企画に工夫をこらしています。
お母さんのように体に機能障害がある場合には、工芸をしたり、玩具の操作を通して機能の回復をはかる作業療法が行われる場合もあります。
この指導と援助を行うのは作業療法士です。
ところで、こうした施設には、ケア・ワーカー(寮母)や生活指導員として、社会福祉主事や介護福祉士、社会福祉士が配属されている場合があります。
ケア・ワーカーの仕事は、利用者の日常生活の介護のほか、食事・排泄・入浴・体位交換などのケア・プランの作成などがあります。
また生活指導員の仕事は、利用者のための各種手続きや生活プログラムの作成と利用者や家族への生活相談などです。
いずれも現在は特に資格の必要はなしとされていますが、資格をもっているほうがよりが適任とされてきています。
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福祉に携わる人たちの現場を知る
保健指導と福祉サービス
あなたたち夫婦は都内のマンションで歳をとったお母さんと同居しているとします。
ある日、お母さんが脳溢血で倒れ、動けなくなってしまいました。
何とか一命を取りとめ、数カ月後には退院してきましたが、お母さんには言語障害と半身麻痔の後遺症が残りました。
あなたたち夫婦は共働きをしていますが、マンションのローンを払うためにも、仕事を続けなければなりません。
家族だけの力で、動けなくなったお母さんの介護をしていくのは難しそうです。
このようなとき、あなたの家族は国や市区町村が行う福祉サービスを受けることができます。
まずは、あなたの住む市区町村役所の福祉課に相談をしてみましょう。
市区町村役所の福祉課では、社会福祉主事、福祉行政職員のいずれかが相談を受け付けています。
社会福祉主事は、生活保護法や身体障害者福祉法などの福祉六法に基づいて、
地域で福祉サービスを必要としている人の相談に乗り、生活保護の適用や福祉施設への入所手続きなどを行う職種です。
福祉行政職員は、公務員試験の一般行政職で採用された福祉相談援助員であり、
障害者の義肢や補聴器・車椅子などの支給や費用の相談、施設への入所相談、職業相談、福祉事務職員への技術援助などを行うことを仕事としています。
福祉課の職員のアドバイスによって、あなたの家族とお母さんは、自治体が行ういくつかの福祉サービスを受けることになりました。
週に2回、月曜日と金曜日に区のデイサービスセンターという福祉施設に行き、デイケアという日帰りの入所サービスを受ける手続きを行いました。
また、毎週火曜日には、区の福祉事務所から公務員の老人ホームヘルパーを派遣してもらい、お母さんのお昼ご飯の支度とおむつの交換などをしてもらいます。
隔週の木曜日には保健所から保健婦が訪問してくれ、お母さんの健康状態をチェックしてくれることにもなりました。
予約制で、数日から1週間にわたり、福祉施設にお母さんを預かってもらうショートステイという制度も利用することにしました。
しかし、これで完全に自宅で介護ができるようになったわけではありません。
残る水曜日と隔週の木曜日には、お母さんが家にひとりっきりになってしまいます。
そこで福祉事務所から、福祉法人が設立する社会福祉協議会と、在宅介護支援センターに連絡をしてもらいました。
これらの施設には社会福祉士がいて、各種サービスのコーディネートや福祉相談に乗ってくれます。
結局、水曜日と木曜日には社会福祉協議会から派遣される老人ホームヘルパーに来てもらうことができました。
やっと一安心。
日本の福祉レベルは欧米に追いついたとはとても言えない現状のなか、あなたたち夫婦は本当に幸運といえるでしょう。
共稼ぎしながらも、何とかお母さんの介護をしていけそうですね。
ところで、以上の例からもわかるように、福祉の中心的な担い手である老人ホームヘルパーの所属先には、いくつかのものがあります。
最も多いのは社会福祉協議会、次に多いのが福祉法人から委託された民間団体、そして純粋な民間企業で全国各市町村によってばらつきがありますが、公務員ヘルパーはまだまだわずかです。
なお、シルバービジネスと呼ばれる民間企業や、自治体や福祉事務所は、老人ホームヘルパーの派遣のほかにも、さまざまなサービスを行っています。
たとえば、お風呂カーで各家庭を巡回訪問する「訪問入浴サービス」や「訪問看護サービス」などがそれです。
訪問入浴サービスでは、老人ホームヘルパーやボランティアたちが数人でチームを組んでお風呂を設置した車で家庭を訪問し、お年寄りの入浴を介助します。
訪問看護サービスは、上記の施設のほか病院・医院でも実施していますが、看護婦(士)や准看護婦(士)が医師とペアを組み定期的に家庭を回り、お年寄りの健康状態をチェックします。
これらを総称して「在宅ケアサービス」と呼んでいるのです。
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回復期というステージのなかで
救急車で運びこまれた当初は、呼吸が停止して危険な状態であったあなたも、やっと症状が安定し、回復期を迎えることができました。
もうベッドから起きあがることも、ひとりで食事や排泄をすることもできます。
しかし、足を複雑骨折したために、まだ、うまく歩くことができません。
そこでさっそく医師の指示により、リハビリテーションが始まりました。
訓練室に移動して、毎日午後3時間ほど、歩行訓練を行います。
あなたの歩行訓練を励まし援助してくれるのは、理学療法士のスタッフです。
ここでは歩く練習のほか、長い間ギプスをはめていた足の筋肉をほぐすために、温水のなかに足を浸す物理療法やマッサージなども行います。
これらを指導してくれるのもまた、理学療法士たちです。
行われたリハビリの結果は、やはりカルテに記載され、ほかの医療従事者たちと共有される情幸酎こなります。
もしあなたが手足を切断して義手や義足の装着の必要があれば、この時期に義肢装具士があなたに合ったサイズの義肢を製作します。
義肢の操作を指導し、あなたとともに練習に励むのは理学療法士の役目です。
また、もしも視覚障害がある場合には視能訓練士が、言語障害がある場合には言語療法士があなたの能力の回復を支援します。
入院によってお年寄りに痴呆症状が出てしまうなど、社会的不適応がある場合には、工芸や絵画の創作活動などを通じて作業療法士があなたの精神状態の向上に努める場合もあります。
これらはいずれも医師の判断と指示によって開始されることになります。
さてリハビリも順調に進み、いよいよ退院の時期が近づきました。
そこで登場するのが医療ソーシャルワーカーです。
入院中にかかった医療費を自身や家族が支払えない場合や、
退院後にも自宅の近くの訓練施設などで訓練を続けなければならない場合、
退院後の生活に患者や家族が不安を抱いている場合など、医療ソーシャルワーカーはこれらの相談を引き受けます。
医療ソーシャルワーカーは、あなたの住む地域の開業医や保健所・福祉施設などと常に連携をとりあっており、それぞれのケースに一番マッチした自宅療養の方法や福祉・行政サービスの内容や利用方法を紹介してくれます。
退院の日が決まると、あなたのカルテは医事課に送られ医療事務職員によって医療費の算定がなされます。
入院中に行われるさまざまな治療や処置・訓練に対しては、法律によってそれぞれ決まった点数がつけられており、医療事務職員はこれらの点数を加算して診療費を割り出します。
あなたが健康保険を使って治療を受けているならば、診療費のなかで国や市町村・各種健康保険組合に請求できる費用と個人負担の額に分けられて請求がなされます。
この治療・療養費を会計の窓口で支払えば、あなたの入院生活は終わりとなるのです。
いかがでしたか? 3回にわたって「ケガをしてから病院に運ばれ、検査・入院・治療やリハビリ・退院までの流れ」を見てきました。
あなたが取得をめざしている医療関連資格をもつスタッフは、登場しましたか?
誌上入院体験を通して、たくさんの医療従事者が、あなたというひとりの患者を中心にチームワークを組んで働いていることがわかったでしょう。
この連携の輪が少しでも乱れると治療が滞り、患者の入院生活にも支障が生じるのです。
それだけに医療従事者には、患者の生命を預かるにふさわしい責任感と協調性が要求されているのです。
カテゴリー:医療・福祉の仕事を知る
人院生活のなかで
朝、目を覚ますと、看護婦(士)や准看護婦(士)たちが、あなたの体温や血圧を測りにやってきます。
体の調子をたずねながら、朝食のあとに飲まなければならない薬と、今日行われる検査について説明をしてくれます。
どのような薬を飲み、どのような検査が必要かを決定するのは、あなたの主治医である医師です。
看護婦(士)は、医師から指示を受けて、あなたが正しく薬を飲み、検査を行えるように説明や援助をします。
また、入院生活のなかで必要な観察や看護をしてくれます。
准看護婦(士)は、看護婦(士)から指示を受けつつ看護婦とほぼ同じ仕事を行いますが、血液採取や筋肉内注射など一部の看護業務をすることができません。
さて、朝食が届きましたが、あなたはまだベッドの上から起きあがることができそうにありません。
そんなあなたの食事を手伝ってくれるのは、ヘルパーや介護アテンドサービス士です。
彼らは看護婦(士)の指示により、あなたの身のまわりの世話をしてくれます。
検査室まであなたをベッドごと運んでいってくれるのも普通は彼らです。
今日の検査は血液検査と尿検査、そしてレントゲンです。
血液と尿は、病棟で看護婦(士)が朝のうちに採ってくれました。
採取された検体(血液・尿など)は、病棟クラークや看護婦(士)の手によって検査室に送られます。
ここで検体は臨床検査技師の手で検査され、結果がカルテに書き込まれるのです。
ところで検体には、尿や血液・粘液などの分泌・排泄物と、内臓や組織から採取した細胞との二種類があります。
細胞を顕微鏡で見て、癌細胞の有無などを調べる特殊な検査が必要であるときには、細胞診断士があなたの細胞を調べることになります。
レントゲン室に到着すると、あなたを待っているのは診療放射線技師(旧診療エックス線技師)です。
撮影されたレントゲン写真は、現像されたのちカルテに付記されます。
医師は、後日これらの検査結果を見て総合的に病状を判定し、病名に沿った治療方針を立てます。
立てられた方針は看護婦・薬剤師・栄養士などにも伝えられ、共通の情報として認識されます。
看護婦は、この情報をもとに今後の看護方針を決定し、薬剤師は投与する薬の調合を行います。
栄養士は、これから毎日あなたにどのようなメニューを提供するべきかを決定します。
ところで病院で入院患者の食事を作っているのは、給食センターと呼ばれるセクションですが、ここには栄養士のほか、管理栄養士と調理師も働いています。
調理師は調理が仕事、栄養士は栄養指導や献立の作成をするのが仕事ですが、管理栄養士はこれに加えて、給食部門の労務管理や栄養指導業務の企画などを行います。
病院だけでなく、レストランや給食センターなどの多くにも管理栄養士は配置されています。
各セクションによって決定された内容は、再び医師にフィードバックされていきます。
同時に、病状や治療方針について、あなた自身とあなたの家族に説明されることになります。
治療の方針のみならず、飲んでいる薬や食事・検査について、わからないことや知りたいことがあれば、あなたはいつでももっと詳しい説明を求めることができます。
あなたの質問に医師や看護婦(士)だけで対応しきれない場合には、薬剤師や栄養士がベッドサイドに訪れ、より詳しい説明をしてくれるでしょう。
こうして各セクションの人々が連携をとりあい、あなたという患者の療養生活を支えていくのです。
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医療に携わる人たちの現場を知る
救急車から入院まで
あっ!
ちょっとした不注意から、あなたは交通事故にあってしまいました。
車にはねられて、道路に横たわっています。
胸のところが痛くて、うまく息を吸うことができません。
はじめはハッキリしていた意識も、だんだん薄らいでいきます。
遠くにサイレンの音が聞こえます。
誰かが救急車を呼んでくれたようです。
救急車に乗って、事故の現場に到着したのは救急隊員です。
救急隊員は、通常消防隊員が兼ねていますが、なかには救急救命士を搭乗させている車もあります。
救急隊員と救急救命士の違いは、仕事の目的にあります。
救急隊員が現場で行える救急手当は限られており、簡単な処置しかできません。
救急隊員の役割は、迅速に病院へ患者を搬送することにしぼられているのです。
一方、救急救命士は「呼吸または循環の機能が停止した傷病者(DOA患者)に対し、(医師の指示のもとに)気道の確保、輸液、除細動(不整脈を治す)」を行うことができ、その役割は患者の救急救命措置ということになります。
新しい国家資格で、まだ現場には少数しかいない救急救命士が同乗しているなんて、あなたにもまだ幸運は残っているようです。
救急隊員が、倒れているあなたの状態を調べています。
どうやら意識がなく、呼吸が止まってしまったようです。
救急救命士は無線電話で病院にいる医師と連絡をとりあい、あなたの喉にマウスピースという特殊な器具を挿入して酸素を送りこみはじめました。
心臓マッサージもしています。
救急隊員と救急救命士たちは、これからずっとこうして医師と連絡をとりながら、あなたを救急車で近くの病院まで搬送していくのです。
病院に着くとあなたは救急外来に運ばれました。
ここには看護婦(士)と医師が24時間体制で待機しています。
大きな病院では、救命センターというセクションを備えるところもあり、救急外来看護婦や救急医療を専門とする医師が勤務しています。
救急救命士から、看護婦(士)があなたの全身状態と事故に関する報告を受け、それを医師に報告して引き継ぎます。
医師は看護婦(士)とともに、ただちにあなたの応急処置にとりかかります。
けがの部位や意識のない原因などがわからない場合は、簡単なレントゲンやCTスキャンをかけて適切な処置を考えます。
このために一部の大病院では、救急患者のレントゲンを撮るための診療放射線技師が待機していることもあります。
救急外来であなたの呼吸や心臓の拍動が回復し、血圧などの状態が安定すれば、あなたは病棟に運ばれます。
しかし一刻を争う場合は、緊急手術を行うこともあります。
また、いつ危険な状態に戻ってしまうかわからないようなときには、いったん「ICU(集中治療室)」に送られ、回復を待ちます。
ICUには、非常に症状の重い患者が入室しています。
ここでは24時間体制で、医師と看護婦(士)が患者の治療と観察にあたり、人工呼吸器や人工心肺装置などの複雑な生命維持管理装置が設置されています。
これらの操作と整備を行うのが臨床工学技士の仕事です。
臨床工学技士は、このほかにも腎臓機能の低下した患者に必要な、人工透析装置の管理と操作なども行っています。
さいわいあなたは病状が安定したため、病棟に送られることになりました。
そのときに、看護婦(士)と医師は診療録(カルテ)に、自分たちが行った処置やあなたの体に関するすべてのデータを記載して引き継ぎます。
カルテは病棟クラークや診療録管理士によって整理され、あなたの入院することになった病棟へ渡されます。
病棟クラークなどがいない病院では、直接外来から病棟へ送られることもあります。
病棟であなたを待っているのは、病棟看護婦と主治医です。
あなたの入院生活がはじまることになります。
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